日本人は太っている? その2 |
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洋の東西を問わず、どこの国でも豊かになると食生活が変わるものです。穀類や野菜中心だった食卓に魚料理や肉料理が加わり、それに伴って摂取するカロリーが増えていきます。
日本も経済が高度成長期に入った1960~1970年頃から一気に所得が増える中で、当時の厚生省は肉類や乳製品の摂取が増えて食事の洋食化が進むと予想していました。そしてその通り、日本人も洋食や中華料理などを食べるようになりました。
ところがこの間、日本人の摂取カロリーはほとんど変わっていないのです。むしろ、当時より年齢構成が若干高年齢化してきているため、日本人全体の摂取カロリーは減少傾向にあります。
もちろん中にはハンバーガーのような高カロリーのファストフードが好きな中高生や、肉やアルコールの摂取が多いサラリーマンもいますが、一方では体重を気にして小食ぎみの女子高生や食べ残しが多い大人もいて、日本人全体で平均するとそれほどではありません。豊かになっても、日本人は総体としてカロリーをとりすぎないように気を付けてきたと言っていいと思います。そしてそういう意味では、今のダイエットブームに象徴されるように、国民全体で肥満を過剰に警戒しダイエットに走る必要はないと思うのです。
ただ、日本人の食生活には別の面で気になるところもあります。政府が継続して行っている国民健康・栄養調査(旧国民栄養調査)で日本人が何をどれだけ食べているかを見てみると、近年の傾向として、米の消費量が減り、肉と魚が少し増え、牛乳が伸び悩み、植物油の消費量が増えて、野菜が減っています。特にカボチャ、さつまいもなどの根菜類の消費量が減っているようです。
こうした根菜類は、食物繊維が豊富。食物繊維は、便を軟らかくして排便を容易にし、腸内の有害物質を吸着して排出。便秘や生活習慣病を予防してくれます。健康のためには、カロリーのとり過ぎに気を付けながら、カボチャやさつまいもなどの根菜類を積極的にとるようにするといいと思います。
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日本人は太っている? その1 |
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ダイエットブームが続いていますね。メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)もよく話題に。体重や体型が気になっているお父さんやお母さんも多いでしょう。そこで今回は、大人の肥満や食生活を取り上げてみたいと思います。
肥満度はBMI(肥満指数・Body Mass Index)という指数で判断するのが一般的です。体重(kg)を身長(m)で2回割った数値に100を掛けて算出します。日本肥満学会では、BMIが22を標準、18.5以上25未満を普通体重としています。
日本人は肥満を非常に気にしますが、日本人の肥満で多いのは、標準よりせいぜい10~20%程度オーバーしている肥満です。動脈硬化や高血圧などの生活習慣病につながりかねない30~40%超の病的な肥満は、比較的少ないのが特徴です。欧米によく見られる、歩くのも不自由なほどの極端な肥満の人は、日本には滅多にいません。
生活習慣病の代表である糖尿病が増えているという話も聞きます。確かに糖尿病は増えていて、患者は約250万人、血液検査で糖尿病が強く疑われる人は約740万人に及ぶとされています。しかしそれは、寿命が延びた結果、インスリンの分泌機能が低下した高齢者の糖尿病が増えているというのが実状。肥満を伴わない糖尿病であり、肥満が原因のケースが急に増加したというわけではありません。
つまり、一般に思われているほど日本人は太っていないということです。なぜかと言えば、日本人が摂取するカロリーはそれほど増えていないからです。
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