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鈴の木こどもブログ
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鈴の木こどもクリニック鈴木博先生のブログです
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鈴の木こどもクリニックは東京都品川区戸越にあります。東京都では数少ない小児専門クリニックとして、「きれいでやさしい、そして楽しい母と子どものクリニック」を合言葉に、さまざまな小児診療-小児保健活動を展開しています。
  鈴の木こどもクリニック
by 鈴木博
 
 
 
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ヒブワクチンについて 3
  | 病気・ケガ | 2008-12-22 09:06 |

それでは、ヒブワクチンの実際の接種について解説します。アメリカでは、生後2、4、6ヶ月と12~15カ月に追加の計4回接種するスケジュールになっています。わが国では、DPTにあわせて、接種スケジュールを組むのが良いでしょう。

⑥ヒブワクチン接種のスケジュール

ヒブワクチン接種が可能になったとき、生後2ヵ月から7ヶ月未満の年齢のお子さま

 DPTは生後3ヶ月からなので、3ヶ月過ぎたらなるべく早期にDPT+ヒブを開始したほうがよいでしょう。ヒブ髄膜炎の発病のピークは生後9ヶ月なので、生後6ヵ月までに3回接種を完了させておくとよいと思います。

 しかしBCGも6ヶ月までが標準的な接種年齢のため、DPT+ヒブとBCGのどちらを優先させるかはかかりつけの先生と相談してください。ポリオは後回しで構いません。

ヒブワクチン接種が可能になったとき、生後7ヶ月~12ヶ月未満の年齢のお子さま

 ヒブ髄膜炎発病のピークまでに3回接種は間に合いませんが、まだ髄膜炎のリスクは高いため、初回2回+追加1回の接種をDPTにあわせて行ないます。もしもDPT接種が終わっていれば、単独接種または他のワクチンとの同時接種も考慮してよいと思います。

ヒブワクチン接種が可能になったとき、1歳~5歳未満の年齢のお子さま
 ヒブ髄膜炎にかかる頻度は減りますが、1回接種し、抗体を高めておくことをお勧めします。

⑦ヒブワクチンの副反応

 2000年から2002年に行われた、わが国のヒブワクチンの副反応の臨床試験では、深刻な副反応は無く、ほとんどの副反応は接種後2日までに出現し、3日以内に軽快しました。また、接種回数によって、副反応の頻度が増加することはありませんでした。
 局所反応   発赤44.2%、腫脹18.7%、硬結17.8%
 全身反応   発熱2.5%、不機嫌14.7%、食欲不振8.7%、下痢7.9%、不眠9.8%

⑧ヒブワクチンの接種費用

 残念ながらヒブワクチンは任意接種として始まりました。そのため、接種費用は自己負担になります。接種費用については、かかりつけのクリニックに確認してください。(ヒブワクチンの接種料金を医療機関が相談して統一することは、談合として独占禁止法で禁止されています。そのため、医療機関で接種料金は同じではありません。)

 また、任意接種のため予防接種法による補償はありません。(生物由来製品感染等被害救済制度は適用になります)

 ヒブワクチンが定期接種になれば、接種費用は無料となり、万が一のワクチンの副反応による健康被害が生じても予防接種法による補償が受けられます。
 なるべく早く、安心してワクチンを受けられるよう、ヒブワクチンを定期接種にすることが強く望まれますね。

この項終わります。



by 鈴木博 | トラックバック(0) | コメント(1) |
ヒブワクチンについて 2
  | 病気・ケガ | 2008-12-18 13:35 |

④ヒブワクチンについて

 以上みてきたように、ヒブ髄膜炎は、初期にはかぜと見分けがつきません。しかも症状が急激に悪化し、治療薬である抗生剤が十分には効かない例が増えてきています。そして、死亡したり後遺症が残る例も少なくありません。
この恐ろしいヒブ髄膜炎は、ヒブワクチンを打てば、発病を防げるのです。このようなすばらしいワクチンが何故日本では接種できなかったのでしょうか。

 1980年代、ヒブワクチンが外国で登場した頃、日本ではインフルエンザ菌b型の患者が欧米に比べて少数でした。また、新しい抗生剤が次々と登場し、インフルエンザ菌は抗菌剤で十分治療できると考えられました。そのため、ヒブワクチンの日本への導入が見送られてきたのです。
 しかしその後、ヒブ感染症はわが国でも増加し、1996年の全国調査では、5歳未満の小児500~600人がヒブなどの髄膜炎にかかっていたことがわかりました。
このような状況下で、2007年1月26日、ヒブワクチン(アクトヒブ)はようやく厚生労働省に製造販売が承認されました。

⑤アクトヒブについて

 2007年1月26日、厚生労働省によって、製造販売が承認されたヒブワクチンは、アクトヒブ(サノフィパスツール第一ワクチン社)です。このワクチンはフランスで日本仕様に生産され、日本で発売されるフランス製のワクチンです。

 アクトヒブは、インフルエンザ菌b型から精製した莢膜多糖体に破傷風トキソイドを共有結合させて効果を高めた、小児用の結合体ワクチンです。
 予防できる病気は、インフルエンザ菌b型(ヒブ)による全身感染症、特にヒブ髄膜炎です。ヒブワクチンのことを細菌性髄膜炎ワクチンと呼ぶ人がいますが、細菌性髄膜炎の病原菌にはヒブ、肺炎球菌、髄膜炎菌などがあり、アクトヒブはあくまでヒブ髄膜炎を予防するワクチンです。

この項続く。



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ヒブワクチンについて
  | 病気・ケガ | 2008-12-08 09:01 |

 今年の12月19日に、ヒブワクチンが発売されることになりました。すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、「ヒブ?何それ?」という反応のお母さまもいらっしゃるかもしれません。

 そこで今回は、新しく接種することができるようになる、ヒブワクチンについて少しお話したいと思います。

①まず、ヒブとは?

 ヒブとは、インフルエンザ菌b型の略称です。
インフルエンザ菌は最初インフルエンザ患者の喀痰から見つかったため、この名が付けられました。しかし、現在ではインフルエンザとは無関係の細菌であることがわかっています。(いうまでもなく、インフルエンザはインフルエンザウイルスの起こす病気です。)

 このインフルエンザ菌は莢膜(細菌の周りを覆う膜)の有無で、まず二つに大別されます。莢膜を有するグループ(有莢膜株)は、莢膜に存在する物質の性質で、さらにa~fの6型に分類されます。

 この中のb型を、インフルエンザ菌b型、略してHib=ヒブと呼びます。ヒブはインフルエンザ菌のなかで、最も病原性が強いグループとして怖れられているのです。

②ヒブの感染経路

 ヒブは、しばしばヒブを持っている人(保菌者)の咳、くしゃみとともに、鼻やのどから感染します。そしてヒブは鼻、のどで繁殖します。普通は無症状ですが、時として血液中に侵入し、血液を介してからだ全体に広がり、髄膜炎、肺炎、喉頭炎などを起こすことがあります(全身感染症)。
この中で、最もおそろしいのが髄膜炎です。

③ヒブ髄膜炎

 ヒブは起こす髄膜炎の特徴は、
 第一に、ヒブは新生児以降の子どもがかかる髄膜炎の原因菌の第1位です。ヒブ髄膜炎の発病者は、大体全国で年間500~600人と推定されています。(これは、2ヶ月~5歳児の1/2000がかかっているという計算になります。)

 第二に、患者の年齢は0歳台の乳児が53%と最も多く、0~1歳で70%以上を占めています。発病のピークは生後9ヶ月で、逆に5歳以上は発病はまれになります。(この年齢になるとインフルエンザ菌に対する抵抗力が作られるためのようです。)

 第三にヒブの髄膜炎は重い病気で、 死亡は約5%(20人に1人は死亡します)。治っても20~30%にてんかん、難聴、発育障害などの後遺症を残します。

 第四に、病気の初期は発熱、嘔吐、元気が無いなど、かぜ症状と変わりがありません。しかも急速に病状は進行します。
近年抗生剤への耐性が急激に進み、また病状の進行が早いため、抗生剤での治療が困難になってきている病気です。

この項続く。



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夏かぜの季節
  | 病気・ケガ | 2008-08-25 08:56 |

③ヘルパンギーナ

 手足口病と並ぶ代表的な夏かぜで、赤ちゃんでもみられます。今夏、保育園などで大流行しています。病原体はコクサッキ―A群のウイルスです。

潜伏期間は、通常2~4日です。感染経路は病初期の飛沫感染(せき)とその後の経口感染(便→手)です。

 症状は、手足口病と異なり、39℃以上の高熱が1~2日続きます。
のどの奥の口蓋垂(のどちんこ)のわきに、小さな赤い斑点とその中心に白いアフタを認めます。赤ちゃんはものを飲み込むときに大変痛がって、ミルクを飲まなくなります。  
また、手足口病のように、手足に水疱はできません。

 家庭でのホームケア、注意点、登園、外出の目安は手足口病と同じでよいと思います。

この項終わり。



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夏かぜの季節
  | 病気・ケガ | 2008-08-11 08:55 |

②手足口病

 口の中のアフタ(潰瘍)と手足に水疱ができるため、「手足口病」と名付けられました。コクサッキ―A群、エンテロウイルス71など幾つかのウイルスが病原体として知られています。特にエンテロウイルス71による手足口病は、最近中国で死亡例が相次いで問題になりました。

 潜伏期間は、通常2~5日です。感染経路は、病初期の飛沫感染(せき)や水疱からの直接感染とその後の経口感染(便→手)です。

 発熱は38.5℃以下の熱が1~2日で下がります。口のなか一面に、赤い点と中央部に白いアフタがみられ、重症になると食事がとれなくなります。手足の硬い水疱は、水ぼうそうと異なり、かゆみはなく、破れることもありません。お尻やひざに密集して出現することもあります。

 ふつうは2~4日で、口の痛みは軽快し、食欲は回復し、全身状態は改善します。

 もしも、高熱が3日以上続く、頭痛がひどく嘔吐を繰り返すなどの症状が続く場合は、髄膜炎の可能性もあるので、必ず小児科を受診してください。

 保育園に入園している赤ちゃんにもよく見られる病気で、原因ウイルスが複数のため、再感染することもあります。また、大人(両親)も感染します。 

特別な治療はありません。のどごしの良い食べ物を与え、食事の後は白湯を飲ませ、清潔を保ちます。皮膚の発疹はかゆみが無いため、そのまま様子をみてよいでしょう。 

 発熱している間、口内炎がひどい間は、感染力が強いため、自宅で安静に過ごします。熱が下がり、口の痛みがなくなったら、外出してもかまいません。ただし、症状回復後も2~4週間は便中にウイルスが排泄されるため、注意が必要です。

この項続く。



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夏かぜの季節
  | 病気・ケガ | 2008-06-05 09:09 |

日々の外来で、アデノウィルス感染症(プール熱を含む)、ヘルパンギーナ、手足口病などをちらほら見るようになりました。今回は夏かぜについて、お話ししたいと思います。
 
①プール熱(咽頭結膜熱)
プール熱(咽頭結膜熱)は、発熱、のどの腫れ、結膜炎(目の赤み、目やに)を主な症状とするアデノウィルスの感染症です。むかしはプールで流行することも多かったため、この名が付きました。アデノウィルスは一年中みられる感染症なので、プール熱は厳密には夏かぜではないのですが、やはり夏流行することが多いので、夏かぜに含めて扱われることが多いようです。

「プールに入っていないのに、プール熱ですか?」と、時々お母さまから不思議そうに聞かれることがありますが、実際は咳などから移ることが圧倒的に多いのです。

また、アデノウィルス感染症は、のどや目をこすって、迅速検査で10分ほどで簡単に診断できます。しかし、アデノウィルスは感染した場所によって、いろいろな症状を起します。ざっと数えても、扁桃炎、肺炎、胃腸炎、膀胱炎、咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎(流行り目)など多彩です。

したがって、迅速診断で陽性だからといって、必ずしもプール熱とは限りません。

●プール熱(咽頭結膜熱)の症状
感染経路は、通常は飛沫感染(せき)が主ですが、プールでは結膜からの感染や経口感染(口から入る)もあるといわれています。

潜伏期間は、5~7日です。

症状は39~40℃の発熱で始まり、4~5日は高熱が続きます。逆にアデノウィルス感染症だと診断されれば、いつごろ解熱するか、推定できます。その他、頭痛や食欲不振、のどの痛み、くびの腫れなどが目立ちます。

プール熱の場合は、必ず目の症状を伴い、白眼が真っ赤に充血し、羞明(まぶしさ)、眼脂(めやに)なども見られます。眼の症状は、4~7日でよくなります。

●プール熱(咽頭結膜熱)の診断
抗生剤が全く効かず、のどが真っ赤で、高熱が続く場合、アデノウィルス感染を疑います。

診断はラテックス凝集反応や酵素抗体法を利用した迅速診断キットで、10分ほどで行うことができます。そして、迅速検査が陽性で、高熱、扁桃炎に加えて、結膜炎がみられる場合にプール熱(咽頭結膜熱)と診断します。眼が赤くない場合はアデノウィルス扁桃炎と診断します。

●プール熱(咽頭結膜熱)の治療と予防
高熱が続くので、なるべく水分と栄養を十分に与え、安静にして様子をみます。うがいと手洗いを励行します。通常39~40℃の高熱は4~5日めに解熱します。

眼の症状(眼の充血、眼痛、めやになど)がひどい場合は、眼科を受診します。あとは小児科で経過をみます。(点眼薬が必要です。)

抗生剤はアデノウイルスには無効です。

予防は、感染者との密接な接触を避けること(特に兄弟間)、うがいや手洗いを励行することです。

●プール熱(咽頭結膜熱)の登園基準(保育園、幼稚園)
解熱し、のどの痛み、結膜炎が治った後、2日間は登園できません。

この項続きます。



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