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緑蔭だより
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橋口先生のエッセイをお届けします
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橋口玲子先生は内科・小児科医、医学博士。中国医学を中心に、西洋医学・ハーブ療法・アロマセラピーなどを取り入れた医療を実践されてます。
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(無題)
  | その他 | 2012-05-17 09:10 |

 毎年初夏に、緑蔭診療所の地元の皆さんに健康に関する話をさせていただいています。今年は「がんを防ぐ5つの良い生活習慣」というテーマで行いました。国立がんセンター研究部が45〜75歳の男女8万人の生活習慣を10年にわたって調査した結果から導き出されたもので、
 @禁煙
 A節酒
 B減塩
 C適度な運動
 D適切な体重の維持

の5つです。この習慣を一つ取り入れていく毎に年齢に関わらず、男性で14%、女性で9%ずつがんの発生が減少していくという調査結果でした。

 この5つは過去にがんセンターやWHOが推奨したがんを防ぐ生活習慣と共通していますが、5つの習慣を取り入れることで、男女を平均すれば約50%もがんのリスクを減少させることができる、しかも年齢に関わらず減少するという点が画期的といえます。

 がんは発がんのきっかけになる要因と、がんが育つ要因が重なって初めて成立します。前回の緑蔭だよりでも言いましたが、誰の体内でもがん化するかもしれない細胞は毎日次々に生まれています。しかし、免疫システムが健全だとがん化が進まないように防いでくれるのです。5つの習慣のうち@,A,Bは主にがんのきっかけを減らすことに、C,Dは免疫システムを活性化することに関わると言えるでしょう。さらに、抗酸化・抗がん物質が豊富な野菜、果物、海藻などをたっぷりとることと、精神的なリラックスとリフレッシュを心がけることも免疫系の活性化には大切です。

 発がんの要因の中には老化そのものや感染症など、いかんともしがたいものもありますが、変えられるものもたくさんあるというのは勇気づけられる調査結果だと思います。福島原発事故による低線量放射線の長期被曝による発がんのリスクも、上にあげた生活習慣を取り入れることで減らすことができるはずです。自分にできる良い習慣を毎日実践することから生まれる前向きな精神状態は、放射能によるストレスで免疫系の働きが悪くなることを防ぐうえでも役立つはずです。



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放射能ストレス
  | その他 | 2012-04-23 09:31 |

 筍、タラの芽、ワラビなど山菜が楽しみな季節になりました。しかし、原発事故以来、放射能が心配で山菜を食べる気になれないという地域の方も多いことでしょう。セシウム137の半減期は30年ですから相当長い間気を付けなければいけないのは確かですが、「セシウムが全く検出されない食材しか売りません」というような極端なやり方は、放射能への不安を利用した商売法としか思えません。

 そもそも自然界にも放射性物質はたくさん存在しており、野菜や果物に豊富に含まれるカリウムの一部もカリウム40という放射性物質です。人の細胞内にもカリウムはたくさんあり、カリウム40によって大人で年間0.2ミリシーベルト程度の内部被曝を受けていると言われています。では、なるべく野菜や果物を避けたほうがよいかというとそうではありません。カリウムはナトリウムの排泄を促して高血圧を予防してくれますし、野菜や果物をたくさん食べる食習慣はがんの予防にも役立つことがいろいろな調査で判明しています。

 チェルノブイリやスリーマイル島の原発事故後の調査では、被曝自体はほとんどなかった人々にも精神的なストレスによる影響が長期にわたってみられたと報告されています。抑うつ、不安、怒りなどの精神的な症状だけでなく、体の痛みや頭痛などの身体的な症状が長びく傾向にあったとのことです。うつ病の患者さんでも体の痛みや頭痛はよくみられますが、被災された方々にもうつ病が増えることが懸念されます。

 さらに、精神的ストレスが続くと脳卒中や心筋梗塞が増えるだけでなく免疫系の働きも不活発になってしまうので、がんも増える可能性があります。誰の体内でもがん化するかもしれない細胞は次々に生まれていますが、健全な免疫システムはがん化が進まないように働いていてくれるからです。長期の低線量被曝による発がんのリスクを恐れるあまり、ストレスによる発がんのリスクが高くなってしまっては意味がありません。放射能に関する情報を客観的に吟味し冷静な対応をしていくことは、自分や家族のストレスを軽くするだけでなく、被災地の復興支援にもつながると思います。



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野菜薬膳
  | その他 | 2012-03-21 09:03 |

 春の香りのする野菜の一つ、うど。「独活」と書いて薬用植物の一つでもあります。漢方では体には経絡と呼ぶエネルギーのルートが走っており、このルートが余計な水分で詰まると痛みやしびれを起こすと考えますが、うどにはこの詰まりや余計な水分を取って神経痛、関節痛、筋肉痛などを改善する効果があるのです。うどの独特の芳香は複雑な精油成分から成っており、血行改善や鎮痛作用のあるα−ピネン、ミルセンなどが含まれています。春になって湿度が上がってきたがまだ肌寒い、という気候の時は関節痛や神経痛が悪化しやすいと言われます。そんな場合にぴったりの野菜がうどというわけです。

 実は現在、夫の橋口亮(婦人科医、漢方医)と共同で薬膳の本を作っている真最中です。野菜を中心に、身近な食材の漢方での効能や性質をわかりやすく紹介し、簡単なレシピで自分や家族の体調管理に役立てていただきたいというのが本の狙いです。10年以上前に「おいしい漢方ごはん」という本をやはり共著で作ったことがありますが、この本よりさらに身近で豊富な食材とレシピを取り上げる予定です。

 普段から野菜はたくさん食べるほうですが、この数カ月はレシピの確認などのために種類も量も、実にたくさんの野菜や乾物を食べています。おいしいし体調もいいので苦痛ではありませんが、自分で作ったりお店で食べたりするごとに「この素材の効能は」とか、「これとこれの組み合わせだとこういう薬効があると書けるかな」などといちいち頭に浮かぶので、苦笑してしまうときもあります。

 「おいしい漢方ごはん」を出したころに比べると薬膳の一般書が増えているので、薬膳に興味を持っている方が増えているのでしょう。うれしいことです。何を食べるかはセルフケアの基本中の基本です。自分の体は自分の食べたものからしかできないのですから。蛋白質やビタミンといった栄養素の知識に加えて、食材の持つ効能を活かした食生活を続ければ、体質的な弱点を改善したり、加齢による不調を予防したりすることにつながります。初夏には書店に並ぶ予定です。手に取っていただけるよう、頑張って仕上げたいと思います。



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しもやけ
  | その他 | 2012-02-16 10:58 |

 立春を過ぎたとはいえ寒い日が続いています。今年の冬は寒さが厳しいからか、しもやけの患者さんが多いように思います。おもしろいことに、しもやけは真冬より冬の初めや終わりごろに多いのです。単に気温が低いだけではなく、ある程度の湿度もあるときの方がしもやけができやすいからです。そのため、それほど寒さの厳しくない神奈川でもよく見かけます。

 しもやけは大人より子どものほうがなりやすく、男性より女性の方がなりやすいのですが、必ずしも冷え性の人がなるというわけではありません。寒がりではない元気な子どもも、手洗いの後にタオルで拭かなかったり運動で足に汗をかいたりすると、手足が冷たくて湿った状態になるのでしもやけになることがあります。しもやけになりやすい体質というのもあるといわれており、毎年なる人や、お母さんと子ども両方がしもやけという例もあります。

 出てしまったしもやけを、すぐに治してくれる塗り薬というのは残念ながらありません。ビタミンEには血行をよくする作用があるので、昔からビタミンE入りの軟膏がよく処方されますが即効性はありません。

 予防が肝腎。しもやけは手足と耳に多いので、手袋、保温性の高い靴下、帽子などで保温することと、手足を湿ったままほうっておかないことが大切です。靴下が湿っていたら乾いたものにとりかえましょう。手洗い後はしっかり水分を拭きとらないと、しもやけだけでなく手の甲のあかぎれもおきやすくなります。ヘパリン類似物質という成分の保湿剤にも血行をよくする作用があるので、しもやけやあかぎれの手当に用いられます。子どもにも使えますので、医師に処方してもらい手を拭いた後はこまめに塗っておくといいでしょう。

 漢方薬の当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)や四物湯(しもつとう)はしもやけによく効くので、できてしまったものを早くよくしたい時や、毎年なるので予防したいという場合には漢方薬を処方してくれる医師に相談してみるといいでしょう。四物湯は錠剤の製品もあるので、粉薬が苦手という人に便利です。



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情報と体験
  | その他 | 2012-01-18 15:21 |

 しめ飾りなどを焼くどんど焼きでお正月行事も終わり日常が戻ってきました。暮れから正月にかけては年越しそば、お雑煮、お節料理、七草粥、鏡開きのぜんざい、どんど焼きの新粉だんごなど、節目の食べ物が続きます。これらのものをすべて用意するのは忙しい家庭ではなかなか大変ですが、行事の意味を情報として伝えるとともに、子どもたちに作ったり食べたり体験してもらう年に1回の機会です。

 かつては年末に家庭や近くのお店でついていた餅も、真空パックされたものをスーパーマーケットで購入することが多くなりました。餅つきという手間のかかる行事を経ていないと、お餅が特別な時に食べるハレの食べ物であるという実感も少し減ってしまうような気がします。餅に限らず、お節も七草粥セットも時期に合わせてスーパーに並んでいます。七草の名前や由来を書いたポップも立ててあったりして、今やスーパーは伝統行事を伝えてくれる情報提供の場となっています。子どもと一緒に買い物をしながらハレの食べ物の意味を伝えるのもいいかもしれません。

 私の住む地域では秋のお祭りのときに餅つきが行われています。若い時から長年餅つきをしてこられた年配の方々のやり方を見ていると、「なるほど」と感心することがたくさんあります。糯米を水に浸ける時間、蒸籠への米の入れ方、返しの水の加減、つきあがった餅を手際よく成形したり食べたりするための準備など、餅を作るにはつく技術以外にも知っておくべきノウハウがたくさんあることがわかります。昨年末は若い人たちに餅をついてもらう集まりに参加しましたが、このときにお祭りで得た知識がとても役立ちました。

 現代ではインターネットを通して情報を手軽に取り出せますが、実際の体験を通して得た知識とは質が異なります。体験というフィルターを通さないと、自分にとって意味のある情報かどうか確かめることは困難です。大量の情報にさらされ続けると脳が疲労するだけで、ちっとも身に付かないということになりかねません。情報とうまく付き合うには脳だけでなく、体で経験すること=体験が大切なのだと思います。不要な情報は役に立たないどころか有害ですが、体験は失敗した場合でも次へのステップという意味で役立つのではないでしょうか。



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アロマセラピー講座
  | その他 | 2011-12-19 12:58 |

 今年も診療のかたわら、たくさんの講演をさせていただきました。ハーブ療法に関する私の講演は今まで座学中心でしたが、つい先日、東京都内でアロマセラピーの実習中心の講演を行う機会がありました。 アロマセラピーは初めてという方のほうが多い講座でしたので、まず精油や道具類に触れてもらうことから始めました。

 精油は天然の濃縮エキスです。そのままでは嗅覚刺激としても、皮膚刺激としても強すぎるので、いかに薄めて上手に使うかという技術が大切です。リラックスや安眠目的で、部屋に香りを香らせる芳香浴や、湯船に精油を入れるアロマバスを行う場合、香りが強烈すぎるとリラックスよりリフレッシュ作用になってしまい、安眠どころか「さて、もう一仕事」という気分になってしまいます。もちろん精油の種類にもよりますが、リラックスに向く代表的な精油である真正ラベンダーでもカンファーという刺激成分を含むので、香りが強すぎるとリフレッシュ作用が強くなってしまいます。

 嗅覚は慣れを生じやすい感覚です。芳香浴で用いる精油の量は、その部屋に長くいると香りに気づかなくなるが、いったん部屋を出て戻るとわかるという程度で十分ではないかと思います。嗅覚の敏感さには個人差が大きいので、同室の人がいる場合はみんなが気持ちよく過ごせる香りを心掛けましょう。どんなに良い香りでも長く強い香りを嗅いでいると、頭痛や気分不快を感じる場合がありますので注意しましょう。

 精油には抗炎症、抗ウィルス、抗菌、血行促進、筋弛緩など様々な作用があります。効果を知って適切な方法で精油を使い分ければ、風邪の予防やひきはじめの手当、肩こりや足のむくみの手当など、日常的なちょっとした不調のセルフケアに役立てることができます。精油を皮膚に塗布するときはスキンケア用のオイル(キャリアオイルと呼びます)で1〜2%に希釈してから用います。肩こりのセルフケアとして1%に希釈した真正ラベンダーのアロマオイルを首筋や背中に塗ると、精油成分が皮膚から吸収されて筋肉を緩めるだけでなく、香りを嗅ぐことで気分がリラックスして肩の力が抜けるというダブル効果があります。そこが現代医学の湿布や消炎剤の塗り薬とは異なるところです。

 今回の講座では、子どもがいたずらできないよう開けにくくなっているチャイルドプルーフの精油壜の蓋を開け損ねて精油をこぼしてしまう人がいたり、料理用のオイルをキャリアオイルとして用いることができるかという質問が出たり(できません、念のため)、和気あいあいと楽しい時間を持つことができました。アロマセラピーに興味を持つ方が増えてくださればうれしい限りです。



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音楽の力
  | その他 | 2011-10-19 09:19 |

 先日、古い友人からピアノの公開録音のための演奏を聴きに来ないかという誘いがありました。友人は金澤攝といい、作曲家でもありピアノの演奏家でもあります。それとともに19世紀から20世紀にかけて、当時は高い評価をされたもののいつの間にか忘れられてしまった作曲家についての研究者でもあります。埋もれてしまった幻の楽譜を調べだし、当時のままの形で音楽を再現しようという試みを長年続けている稀有なピアニストです。

 今回はいずれも19世紀の作曲家で、ドイツ人のタウベルトとフランスで活躍したスタマティという人のエチュード集を取り上げていました。もちろん、私は初めて聴く曲です。エチュード(練習曲)なので、曲想の異なる短い曲が次々に立ち現れてきます。タウベルトの「12のコンサートエチュード」にも、スタマティの「12の絵画的練習曲」にも1曲ごとに「とんぼ」とか、「亡霊の踊り」とか、「ラバとラバ曳き」とか表題がついています。それぞれ表題のイメージを喚起させるようなリズムやメロディの表現があり、次々に変化していくので大変楽しく聴きました。おそらく演奏技術を磨くための様々な工夫がされている練習曲で、その工夫自体も興味深いのだと思いますが、技術的なことのわからない私のような素人にとってもとてもおもしろい曲でした。表題通り絵画的なイメージが頭に浮かんできます。

 リラックスやリフレッシュのためのセルフケアとして、私はハーブティやアロマセラピーをよく取り上げますが、音楽もハーブ療法とは違う力を持っています。ハーブの芳香は情緒や睡眠をコントロールしている大脳辺縁系の緊張緩和を通して、リラックスやリフレッシュ効果を発揮します。音楽を聴いているときはおそらく、言葉を介して働く大脳皮質とは別の部分が活性化され、日常とは違う脳の状態になることでリラックスやリフレッシュ反応が起こるのでしょう。さらに太鼓を聴いているときに体験するように、音楽のリズムや音の強弱の変化などの刺激には、もっと直接的に情緒を刺激する効果もありそうです。

 睡眠に関する最近の研究では、睡眠の深さは脳全体で一様ではなく、よく使った部分ほど深い眠りに入ると考えられています。仕事など偏ったことしかしていないので疲れているというときには、脳全体が深く眠れるわけではないということです。脳の使い方にバリエーションが多い方が、おそらく睡眠の質はよくなるでしょう。そのために音楽の力は役立つだろうと思います。



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ハーブと精油でセルフケア
  | その他 | 2011-09-16 16:04 |

 8月下旬に緑蔭診療所のある神奈川県南足柄市で講演をさせていただく機会がありました。市民団体の方々の企画で「ハーブと精油でセルフケア―自分でできる抗酸化・抗ストレス―」というタイトルでお話ししました。ハーブやセルフケアの講演は数多く行ってきましたが、地元では初めてのことでした。緑蔭診療所に通院していらっしゃる方やそのご家族も大勢参加してくださり、お陰様で会場は満席でした。

 ハーブやアロマセラピーは日本ではまだ日常生活に浸透しているとはいえず、雑誌などで取り上げられるおしゃれな生活雑貨というイメージを持っている人も多いと思います。特に年配の方や男性では自分の健康に関わるものという意識はないのが普通です。しかし、今回はうれしいことに、会場には年配の方や男性も来てくださっていました。

 講演の内容としては、寿命が延び、精神的なストレスも高い現代人にとってのセルフケアの重要性と、そのためのスキルとしてハーブや精油はなぜ、どのように役立つか、ということをなるべく具体的にお話ししたつもりです。

 講演をお聞きになった方のうち何人かから後で感想を聞く機会がありました。「ハーブって特別なものかと思っていたけど、ふだん食べている野菜もハーブのひとつで薬効があると知り、意識して食べるようになりました。」とか、会場に10種類ほどのドライハーブを展示しましたので、「ハーブティは苦手だと思っていたけど、いろいろな香りのものがあって試してみたくなりました。」とか、「セルフケアって頑張らなくてはいけないものだと思っていたけど、力を抜いてリラックスすることが大事なんだと思いました。」といううれしい反応もありました。

 医師が行う治療だけでは体を作る成分や抗酸化を助ける成分を十分摂取することはできません。リラックスやリフレッシュを心掛け、活動と休養のバランスをとることも治療よりセルフケアの領分です。抗酸化、抗ストレスにハーブや精油を利用したセルフケアは有効で、かつ安全、簡単というメッセージが伝わったとしたらうれしい限りです。



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A型気質
  | その他 | 2011-08-16 10:44 |

 元サッカー日本代表だった松田直樹選手の突然の訃報は、サッカーファンの私にとってもショックでした。冠動脈の攣縮(血管が痙攣するように強く縮んで血液が流れなくなること)による心筋梗塞であったと報道されていました。心筋梗塞は動脈硬化で冠動脈が狭くなって起こることが多いのですが、血管に狭いところがなくても冠動脈が強く収縮して起こることもあります。ストレスや緊張にさらされると自律神経系のうち、交感神経の活動が活発になり、心拍数、血圧は上昇し、血管は収縮します。

 責任感が強く、バリバリ仕事をこなし、テキパキと効率よく進まないとイライラしやすい性格をA型気質(血液型とは無関係)と呼びますが、このタイプの人は交感神経の働きが過剰になりやすく、高血圧や、狭心症、心筋梗塞、脳卒中を起こしやすいといわれています。緊張を感じていなくても「よし、やるぞ」と気合が入った状態も交感神経を刺激するので、張り切りすぎも要注意です。松田選手がA型気質であったかどうかは知りませんが、彼のように周りを引っ張っていくタイプは自分も周りも叱咤激励して無理しがちです。

 A型気質とは別に、心配性で不安から交感神経が緊張してドキドキしやすい人もいます。そういう方は動悸や血圧上昇を心配して受診することが多いのですが、A型気質の人は症状に気付かずに無理をし続けたり、気づいても「このくらい大丈夫」とか、「鍛えれば何とかなる」と考えたりして治療を受けようとしない場合もよくあります。気を張り続けいていると精神的にも疲労してきます。疲労から仕事がスムースにこなせなくなった場合も、本来は休めば回復するのに、A型気質の人は「自分の頑張りが足りないからだ」とさらに自分に鞭打って精神的に燃え尽きてしまい、うつ病を発症してしまうこともあります。

 過労死の多くは心筋梗塞、脳卒中、うつ病によるもので、背景にA型気質があることも多いといわれます。元気なうちから活動と休養のバランスを取ることを意識して生活しましょう。回復のための時間を積極的に取ったほうが長い間活動を続けることができるので、自分にとってだけでなく、家族にとっても社会全体にとっても結局はプラスなのです。

 松田選手のご冥福とともに、同様の不幸が再び起きないことを祈ります。



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フィトケミカル
  | その他 | 2011-07-19 09:22 |

 今年も様々な講演の機会をいただいていますが、シンポジウムなどは他の講師の方のお話を聞くチャンスでもあります。前回の「動的平衡」の福岡伸一先生の講演は大変楽しく聞かせていただきました。その後、日本メディカルハーブ協会の「フィトケミカルの理論と実際」をテーマとするシンポジウムで、食品機能学の専門家、寺尾純二先生(徳島大学教授)のご講演を聞く機会がありました。

 「動的平衡」の回でも述べましたが、フィトケミカルとはポリフェノールや精油など植物の作り出す化学物質の総称で、抗酸化や抗ストレスなど人体にとって役立つ作用を持つ成分がたくさんあります。ポリフェノールのひとつに植物の黄色の色素成分であるフラボノイドがありますが、寺尾先生はそのフラボノイドのひとつであるタマネギのケルセチンの吸収や代謝、さらに生体利用と機能について研究しておられます。ケルセチンはタマネギ以外にもソバやエルダー、クランベリーなど様々なハーブに含まれています。

 ケルセチンは抗酸化、抗炎症作用のほか、毛細血管を丈夫に保つ作用などがあると考えられていますが、寺尾先生のご研究では、ケルセチンの代謝産物は動脈硬化のアテローム部位(悪玉コレステロールがもぐりこみ、血管壁が分厚くもろくなっているところ)に集まっているとのことです。傷んだ血管壁を修復するのに役立っているのでしょう。さらに、ケルセチンは血液中から脳内に移行し、抗ストレスに関わっているらしいとの研究結果も話されていました。脳の血管には血液脳関門と呼ばれる仕組みがあり、有害なものが脳に入っていかないようにできています。ケルセチンはそこを通り抜けて脳神経細胞に作用しているとは、驚きでした。

 ハーブの抗ストレス作用というと、精油による嗅覚を介するルートが第一に浮かびますが、食べたり飲んだりして吸収されたフィトケミカルが血液を介して脳に作用するルートも大きいのかもしれません。新しいことを知るということはワクワクすることです。知識と刺激を得ることのできた、とてもよい機会でした。



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